:::2008.07.02号より:::

「心神喪失」で罪に問われなかった犯人が、目の前を歩いている!

虚夢(きょむ)

薬丸岳●講談社/1575円

 愛娘を殺した通り魔は、「心神喪失」で罪に問われなかった。それが原因で夫婦は離婚。それから4年後、元夫は突然元妻から「街で偶然犯人とすれ違った」と連絡を受ける。決して消すことのできない憎しみや怒りを抱き苦しみ続けた元妻は、その日から不可解な言動を強めていく。物語は、刑法三十九条や精神鑑定を軸に、さまざまな登場人物を交え、加速度的に展開していく。

ウィンザーホテル洞爺 夢のホテル

窪山哲雄●小学館文庫/560円

 ウインザーホテル洞爺が、経営破たんから5年を経て再開、さらに洞爺湖サミット会場になるまでの軌跡を描いた作品。社長である著者が雄大な自然と施設を生かし、海外にも通用するリゾートホテルを造り上げるまでの苦労や戦略に感服。

孤宿の人 上下

宮部みゆき●新人物往来社/各924円

 江戸時代、港に置き去りにされ、藩医の元に奉公人として住み込むことになった9歳の少女、ほう。その半年後、ほうが暮らす丸海藩に加賀殿という罪人が預けられた。その後、次々と不可解な事件が起こり…。読後はほうの純粋さに、静かな感動が広がる。

取材協力/三省堂書店(札幌市中央区北5西4 大丸札幌店8階、TEL.011・222・4650)