:::2004.09.01号より:::
 明治時代、札幌市東区には日本初の麦酒醸造所が創立、製麻工場もあり、亜麻(アマ)の畑が広がっていました。町の歴史にちなむ亜麻の花とビールの原料になるホップで街路を飾りたい…。花好き仲間の思いが行政を巻き込んでの「アマとホップのフラワーロード構想」へと広がり、北8条通の一部が亜麻とホップの道に変身したのです。活動を進める市民グループの代表・走川貴美さんに話を聞いてみました。(八島美穂)
自分の住む地域に
縁の深い亜麻とホップの道を
AMAサポーターズ倶楽部
走川貴美さん月に1度、14人のリーダーが集まって和気あいあいと今後の活動を考えます(上)。代表の走川貴美さん(右)
ホップ
ビールの原料としておなじみのホップ。クワ科の植物でつるが木などに巻き付きます
 「木に巻き付いた緑色のホップと、その下で揺れる青い亜麻の花を想像してみて。きれいだと思いませんか」。弾んだ口調で話し出したのは、「AMAサポーターズ倶楽部」代表の走川貴美さんです。走川さんは30年ほど前からフラワーアレンジメントなど花に関する仕事を始め、5年前からは札幌市東区でガーデニングスクールを開いています。
 「10歳の頃から東区に住み、サッポロビール園のそばでよく遊びました。なじみの深い場所にきれいな花が咲いて、みんなが楽しんでくれたらいいなあと思っていたんです」。そんなささやかな夢が、昨年の夏から形になって動き出したのです。
 「去年の地域の夏祭りで同じ思いを持つ人たちと出会い、その話で盛り上がったんです。そこで、亜麻でゆかりの地を埋め尽くそうということに」。さっそく亜麻の種をオランダから通販で手に入れ、ガーデニングスクールの仲間8人と苗作りをスタート。亜麻の花は生育が早く、3、4日で発芽、約1カ月後の10月には植え付けができるようになりました。
 「飾るところがあれば」と区の関係者に告げると、さっそく東区役所前の花壇を亜麻の見本畑として提供してくれることに。手応えを感じた走川さん、今度は雑草が生えていた北8条通の街路ますに亜麻とホップを植えたいと提案したのです。
 「こうしたいなと思って言ったことがどんどん広がって、札幌市が進める”元気活動プロポーザル事業“に採択され、日本ハムファイターズの移転を機に街路ますから街路帯に整備することになって…。トントン拍子に話が進みました」と走川さん。年末からは区の関係者も加えて数回の話し合いを繰り返し、3月には亜麻の苗を育てるボランティアの募集や説明会を開催。札幌市内をはじめ小樽や室蘭などに住む約80人が苗育てを申し出てくれました。
 「自分にも何かできますかと問い合わせてくる人が多くて、反響の大きさにびっくり。中には苗育てが初めてという人もいて、手間がかからないので大丈夫ですよと教えたり。ガーデニング好き仲間のちょっとした話が、こんな大きいことになっていくなんて考えてもいませんでしたね」。
 こうして名もない仲間の集まりが、「AMAサポーターズ倶楽部」という市民活動グループに成長。仲間14人をリーダーとして、苗育てや植え込み、メンテナンスを指導しながらフラワーロード作りに取り組むことになりました。
多くの人の協力で
フラワーロードの夢が現実に
メンテナンス作業
月に1回のメンテナンス作業。リーダーをはじめ9歳から70代までのサポーターが参加
サポーター
手際よく作業するサポーター
会議
「誰のものでもない みんなの会」と、会議では運営について知恵をしぼる
 今年5月11日、記念すべき第1回目の苗植えが行われました。東区長やサッポロビール園関係者を含め約80人が参加。続く6月5日と合わせ、サッポロビール園前を中心に約350mの街路帯に、亜麻とホップ、ペチュニアなどの花を植樹しました。1年目のホップはまだまだ小さなものですが、色とりどりの花が咲いています。
 花は生き物ですから、植え付け後は最低でも10日間は毎日水やりをしないと育ちません。北8条通に住む人たちが手を貸してくれました。
 「毎朝5時すぎ、5人ほどで公園から水をくんで行きました。家からタンクやペットボトル、じょうろを持ち寄って水を運んで。大変でしたが、前は木だけしかなかった通りに花が咲くときれいですし、手を掛けているうちに花がかわいくなって」と、水やりやゴミ拾いを買って出てくれました。
 ほかにも、月1回の草取りなどのメンテナンス作業の参加者、ホームページを無料で作ってくれた人、亜麻とホップについての資料をそろえてくれた学校の先生や写真を撮影してくれた人など、数多くの人たちの協力を得て、走川さんたちの夢が一歩一歩実現しています。
 同時に、北8条通沿いの町内会でも同じ花を植えるなど、東区民が自主的にフラワーロード構想に協力する動きも出ています。中央区からメンテナンス作業に参加していたサポーターの一人は「中央区にもこういうきれいな通りがあればいいなとうらやましく思います」と、作業を覚えるために動き回っています。
 「みんなで意見を交換しながら、どうやったら楽しく活動していけるかを考えているところ。メンテナンスなどけっこう大変な作業も多いので、つらい活動になっちゃつまらない」と走川さん。
 その一つとして、個人でビールを作っているグループとともに、ホップを使ったビール作りを計画中。ほかにも、亜麻の茎を使った紙すきなどの楽しい行事を考えています。これからは市や区に頼らず、自分たちで事業資金を集めることも視野に入れ、種の販売やはがき作りなどのプランも検討中です。
 「亜麻はね、太陽が昇ると青い花が開き、昼ころには花が散るんですよ。弱々しそうに見えて、翌日の朝また違う花が咲くたくましさがある」(走川さん)。猛暑の中もくもくと草取りなどをする倶楽部のメンバーを見ていると、亜麻同様に、さまざまなハードルを超えてフラワーロードを実現させていく力強さを感じずにはいられません。走川さんが思い描く亜麻とホップの美しい道を見るのを楽しみにしたいですね。
AMAサポーターズ倶楽部
Tel 011・731・5853(走川さん)
http://tappy.tukusi.ne.jp/amahop/amaindex.html
Eメール pamera@mb.snowman.ne.jp