:::2005.11.09号より:::
撮影/久保ヒデキ
吉岡秀隆・山崎貴監督
渥美清さんや田中邦衛さんが僕にしてくださったように
子どもの演技を受け止めていけたらと思います(吉岡)
主役を演じても脇役を演じても、地に足の着いた演技力で役を自分のものにし、存在感を放つ俳優、吉岡秀隆さん。そして、監督デビュー作「ジュブナイル Juvenile」で吉岡さんと組み、日本映画界屈指のVFX(特殊視覚効果)技術の持ち主として評価が高い山崎貴監督。2人が再びタッグを組んだ映画「ALWAYS 三丁目の夕日」が、5日(土)から公開中です。
物語の舞台は、昭和33年、東京タワーがまだ建設中だった頃の東京。これまで架空の「未来」をつくり上げてきた山崎組なら、見本のある「過去」の映像を創るのは、たやすかったのでは?と思いきや、「その時代を知っている人たちが見て、リアリティーがないと思われたらダメなわけですよね。これが予想以上に大変でした」と監督。昭和の東京の街を再現するべくロケハンに回りましたが、適当な場所が見つかりませんでした。そこで、セットの中にその街並みを作り込むことに。美術スタッフの素晴らしい仕事ぶりは、作品の大きな見どころの一つです。
原作の漫画「三丁目の夕日」は、1974年から連載が続く西岸良平の代表作。東京下町、夕日町三丁目の個性豊かな住民たちの物語です。自動車修理工場「鈴木オート」の店主、鈴木則文(堤真一)と、その向かいの駄菓子屋の店主でしがない小説家の茶川竜之介(吉岡秀隆)は、何かといえば反発しあう仲。そのキャラクターを演じるに当たって、「『どこまでやっていいのか』を堤さんとも話しました。やりすぎてもいけないし」と吉岡さん。
また最近、父親的な立場を演じる機会が増えてきた吉岡さん。今回も、ゆかりのない少年、淳之介(須賀健太)を預かる役どころ。そんな時、自分が子役だった時の経験は役に立ちますか?と尋ねると「僕は子役という言葉はあまり好きではないんです。彼らも役者として全力でぶつかってきますから、その純粋な芝居を大きく構えて受け止めるのが僕の仕事。作為が働くとシーンに違和感が生まれるはずです」という答え。「僕もきっと、渥美清さんや田中邦衛さんに、そうしていただいてきたと思うんですよ」という言葉に深くうなずいてしまいました。
予想以上だったのは、茶川が恋心を抱く飲み屋のおかみ役を演じた小雪さんの、元モデルとしての実力。昭和の女性にしては背が高く、「僕、ゲタを履いても小雪さんより小さかったんですよ」と吉岡さん。さらに困ったのが衣装スタッフでした。「アバズレっぽい衣装を用意しても、彼女が着ると清純派に見える。着こなしちゃうんですよ、何でも。それでかなり苦労したみたいです」と山崎監督。
監督は「見た時に、観客の魂が動くかどうか」を一番に考えて作品を撮り、吉岡さんは「脚本を初めて読んだ時の感動を忘れずに演じること」を大切にしているそう。「僕は、チームで一緒に作る“映像”の芸術に興味があります。役者としてそこにこだわっていきたいですね」とも話してくれました。まさに平成の技術で作った“新しい昭和映画”。昭和33年を知らない人も懐かしく思う人も、みんなで「夕日三丁目」の時代を体験しに出掛けましょう。
©2005「ALWAYS 三丁目の夕日」製作委員会
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」(監督・VFX・共同脚本/山崎貴、出演/吉岡秀隆、堤真一、小雪、薬師丸ひろ子、堀北真希 配給/東宝)
昭和33年の東京下町を舞台に繰り広げられる人間ドラマを描く。※東宝公楽、札幌シネマフロンティア、恵庭東宝シネマ8ほかで公開中
よしおか ひでたか
1970年生まれ、埼玉県出身。幼いころから映画やTVドラマで活躍する演技派俳優。映画の出演作は「男はつらいよ」シリーズ(81〜95年)、「八月の狂詩曲」「学校U」「四日間の奇蹟」ほか多数。山崎作品への出演は「ジュブナイル Juvenile」に続き2作目
やまざき たかし
1964年生まれ、長野県出身。阿佐ヶ谷美術専門学校卒業後、白組に入社して伊丹十三監督作品などのデジタル合成に参加。高い映像技術を身に付け、2000年「ジュブナイル Juvenile」で監督デビュー。02年「リターナー Returner」を監督
(矢代真紀)
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