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| 撮影/須藤淳司 |
私が初めて企画・プロデュースした舞台。バレエを観たことがない人も来てください。きっと楽しんでもらえるはずです
日本を代表するバレリーナ、草刈民代さん。今回、自らが初めて企画・プロデュースしたバレエ公演「ソワレ ド ダンス ローラン・プティ」のPRのために来札しました。世界的に知られる振付家ローラン・プティ氏の名作シーンを集めた作品集で、自身もメインダンサーとして、13の演目のうち5作品で踊ります。「これまで踊ることしか頭になかった」という草刈さんを、舞台作りに駆り立てたものは何だったのでしょう。
この企画を立ち上げたのは2年前、38歳のときでした。「これまでずっと踊ってきて、引退するなら40歳くらいと思っていたんです。そしていざその年齢になってみると、『まだ踊りたい、まだ踊れるぞ』と思って…」。でも、いずれ引退の時は来る…。「とすれば、どうしたら自分自身が納得して、その時を迎えることができるだろうと、不安になっていたんです」。踊ることに対する情熱は失っていないのに、バレリーナとしての退路を考える状況。目標を見失い、もやもやした状態だったと当時を振り返ります。
そんなとき、かねてから親交があり、「バレエ界の神様的存在」というプティ氏を訪ね、思いを打ち明けました。すると、励ましの言葉とともに「自分で公演をやるのも一つの方法。やりたいことがあるなら協力する」という一言が。「この言葉に『ぱん!』とひらめいたんです」。迷いを吹っ切り、その後すぐに活動を開始しました。
舞台には、自身のほか、中国の”天才プリマ“ワン・チーミンさんや、個性派男性ダンサー5人が出演。「カルメン」や「アルルの女」など、誰でも知っている名作を、ワン・チーミンさんが踊ります。一方草刈さんは、ジャズやロックなどの音楽に振り付けた、現代バレエの人気作や、自身の代表的なプティ作品を踊ります。「より個性的な”大人の女“を演じるんです(笑)」。かねてからプティ氏は、その作品の中で、草刈さんを悪女役に起用することが多かったそう。その中でも代表作と言われるのが「若者と死」で、その役どころは、若者を魅了し、破滅に導く美しい死神というもの。
さらに今回の見どころの一つは、「羽根をつまむように女性ダンサーをリフトする」と評される男性ダンサーとのデュエット。本公演のためにプティ氏が特別に振り付けてくれた新作です。
バレエ界からも大きな注目を集めている今回の舞台。企画した本人は、「プティ先生の作品は分かりやすいのが特徴。誰もが単純に面白いと感じられるはず」と話します。
舞台のこと、日本のバレエ界のことなど、熱心に語る姿から、バレエへの熱い思いが伝わってきます。「こんなにしゃべると誰も思っていないんです」と、声を上げて笑う姿は、確かに当初抱いていた「美しいプリマドンナ」というイメージとは違いましたが、とても魅力的に映りました。
「バレエを観るのは初めて、という人もぜひ来てください。心から楽しめると思います」。草刈さんのこれまでの活動がすべて詰まったこの舞台を、期待せずにはいられません。 |