細菌が繁殖しやすいこれからがピーク。夏前の今の時期から注意して

食中毒は、細菌や有毒物質の付いた食品を飲んだり食べたりすることによって起こります。主に腹痛や下痢、嘔吐(おうと)といった症状が現れ、ときには生命に関わることさえあります。
国内で発生する食中毒の9割以上が、「サルモネラ」「病原性大腸菌(O157など)」、「カンピロバクター」といった細菌と、「ノロウイルス」などのウイルスが原因。中でも細菌による食中毒は、暖かくなると細菌が繁殖しやすくなるため、これからのシーズンが発生のピークに。しかし一般的には、「食中毒は夏のもの」と考えている人も多く、今の時期は注意を怠りがちです。しかし、細菌の繁殖条件としては夏同様にそろっており、気を抜かずにきちんと予防することが大切です。
予防の3原則は「つけない」「増やさない」「やっつける」

家庭で予防するには、食中毒の原因となる細菌やウイルスなどの「原因物質」を「つけない」「増やさない」「やっつける」という、3原則が大切です。まず、原因物質は日常の生活空間に存在しているので、それを食物に「つけない」ようにすることが基本。調理前には手をしっかり洗い、台所は常に清潔に保ちましょう。また、生の肉や魚・卵にはすでに菌が付いていることがあるので、料理中でもこれらの食材を触ったら、手はせっけんで、まな板や包丁は洗剤でよく洗いましょう。できれば熱湯などで消毒すると安心です。意外と多いのが、「肉や魚を切ったあと、まな板や包丁を十分に洗わずに、生で食べる野菜を切ってしまった」という食中毒事例。予防のポイントの一つとして覚えておいて。
また、原因物質は体内に入っても、微量であれば発症しないことも多いので、食物の中で繁殖させないことが重要です。そのため、食品を購入したらすぐに冷蔵庫に入れる、調理したら早めに食べ切るなど、保存状態に気を付けましょう。
そして最後は「やっつける」。細菌は熱に弱く、温度が75℃以上になると死滅するものが多いことから、十分に加熱して、食品の内部まで殺菌しましょう。
お弁当は冷ましてから。加熱していても「おひたし」はNG
食中毒で気になることといえばお弁当。家族に持たせる場合には、自分で状態を確認できないだけに、十分に気を付けておきたいもの。だからといって特別な注意が必要なわけではありません。やはり「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則が基本です。
まずは弁当を作る前に、きちんと手を洗うこと。調理時には、しっかり加熱するよう意識して。特に前日のおかずを再利用する場合などは、使用するまで冷蔵庫に保管し、中までアツアツになるように再加熱を。さらに生野菜はもちろん、水分を多く含んでいるおかずは細菌が繁殖しやすいので注意が必要。例えば加熱していても傷みやすいおひたし類は避けましょう。
おかずはしっかり冷ましてから詰めて。弁当は、常温で置いておくことが多いので、温かいものを入れると、菌が繁殖しやすい温度になってしまいます。
子どもや高齢者のいる家庭では、特に注意して

健康な大人に比べて、体の抵抗力が弱い子どもや高齢者、特に乳幼児などは、少量の菌でも発症し、重症化する傾向が。該当する人がいる家庭では、特に注意が必要です。
それでももし、家族に吐き気や嘔吐、下痢、発熱などが起こったら、食中毒の可能性があると考えて、すぐに医師の診察を。早めに受診すれば、重症になるのを防げます。また、「食中毒」と診断されたら最寄りの保健所への連絡も忘れないでください。被害の拡大を防ぎましょう。
買い物から後片付けまでHACCPを実践しよう!
HACCP(ハサップ)とは、食中毒予防の新しい考え方のこと。NASA(アメリカ航空宇宙局)が、
宇宙食の安全性を確保するために生み出した食品衛生管理方法で、日本でも効果的な対策として広く導入されています。
気軽に取り組める内容なので、ぜひ参考にしてください。
HACCP=Hazard Analysis(危害分析)and Critical Control Points(重要管理点)
1.買い物
◎購入した生鮮食料品は、肉汁や魚などの水分が漏れないようビニール袋に入れる
◎冷蔵、冷凍が必要な食品は最後に選び、購入後はできるだけ早く持ち帰る
2.保存
◎ 肉や魚はビニール袋や容器に入れ、ほかの食品と触れ合わないようにし、すぐに冷蔵庫や冷凍庫で保存する
◎ 冷蔵庫や冷凍庫は、容量の7割程度を目安に詰め過ぎない
◎ 多くの細菌は10℃では増殖が遅くなり、マイナス15℃では停止するため(死滅するわけではない)、冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下に設定する
3.下準備
◎食品を取り扱う際は、せっけんを使い、その都度まめに手を洗う
◎ラップしてある野菜や市販のカット野菜もよく洗ってから使う
◎包丁やまな板は肉・魚用、野菜用と分けてそろえ、肉や魚を切った後は、洗剤をつけて洗い、流水でよくすすぎ、熱湯などで消毒する
◎冷凍している食品は、常温で放置しながら解凍すると、細菌が繁殖しやすくなるため、冷蔵庫の中や電子レンジ、流水を使って解かす
4.調理
◎加熱調理するものは、食品の中心部が75℃以上になった後、さらに1分間ほど熱を加える
◎調理を中断する場合は、室温に放置せず冷蔵庫に保管し、再び調理する際は十分に加熱する
5.食事
◎料理は細菌の繁殖を防ぐため、食卓の上に長く放置しない
◎後から食べる人の分は密閉して冷蔵庫に保存する
6.後片付け
◎残った料理は短い時間で冷ますため、浅い容器に小分けして、十分冷めてから冷蔵庫に保存する。温め直すときは75℃以上を目安に十分に加熱する
◎細菌はにおいも味もしないので、時間が経って、少しでも危いと思ったら口に入れず、すぐに捨てる