:::2008.06.11号より:::
 

今回の回答は

藤田・荒木法律事務所岸巧先生

札幌市出身。離婚などの家事事件や民事事件、刑事事件を取り扱っている

 父親が亡くなり、銀行に約2000万円の借金があることが分かりました。財産は父親が住んでいた築30年になるマンションだけ。相続する場合、この借金はどうなるのでしょうか?

(千歳市・ミッチさん)

 結論から言いますと、何もしない限り、子(相続人)であるあなたは、父親(被相続人)が所有していたマンションだけでなく、被相続人名義の銀行等に対する借金も、法律で決められた割合(法定相続分)にしたがって相続することになります。相続財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、金融機関からの借入金などのマイナスの財産も含まれるからです。プラスの財産だけ相続して、マイナスの財産は相続しないということはできません。
 そこで、本件のような場合、相続放棄か限定承認を検討する必要があります。相続放棄とは、マイナスの相続財産しかない場合など相続しても損をするだけのようなときに、相続を拒否することです。限定承認とは、少し難しいかもしれませんが、プラスの財産もマイナスの財産もあり、清算してみないとプラスになるかマイナスになるか分からないときに、相続財産を限度として借金などを清算し、もしプラスの財産が残れば相続できる制度です。
 相続放棄や限定承認を選択するか、何もせずに全ての財産を相続するかは、相続人の自由です。しかし、より適切な選択をするには、相続財産についての情報を収集しなければなりません。本件の場合も、マンションの評価額を調査するとともに、より正確な借金の額を算出する必要があります。なお、選択できるのは、基本的に被相続人の死亡を知ってから3カ月間となっており、この期間を過ぎると相続放棄も限定承認もできなくなります。調査が進まず困っている、または専門家の意見を聞いてみたい方は、弁護士に相談してみることをお勧めします。

※取材協力/札幌弁護士会 法律相談センターTEL.011・251・7730